1月17日(水曜)17時30分にベルスト鈴蘭台3階すずらん広場にて開催された、北区制50周年記念事業「第9回きたくろす」。
今回は「『デザイン』は地域を元気にできるか?」をテーマに、
・竹歳 真希 氏(なかの工芸株式会社)
・和田 武大 氏(株式会社デザインヒーロー)
・五十嵐 浩輔 氏(神戸地域おこし隊(淡河町))
・江藤 洋平 氏(株式会社みぎにひつじ)
・市橋 英紀 氏(株式会社トーハク)
の5名によるトークイベントが行われました。
当日は、阪神・淡路大震災から29年目となる日、会の冒頭には会場の皆様と一緒に黙とうを行いました。
それでは、順番に話の内容をご紹介します。
―自己紹介(バナー左から順)
竹歳 真希 氏/なかの工芸株式会社(以下、竹歳さん)
田園風景が広がる八多町にある看板製作会社の一員です。地域のますますの発展を目指し、家族と共に日々看板づくりをしています。昨年はデザイナーとして北区制50 周年のノベルティ作成などに携わりました。仕事をする上では、お客様の要望に応えながら、プラスαの提案ができるように心がけています。以前勤めていたデザイン事務所の仕事の中で得た考え方やブランディングの知識などを活かし、地域に貢献していけたらと考えています。
和田 武大 氏/株式会社デザインヒーロー(以下、和田さん)
出身は北区の山田町。皆さんとなじみ深いところで言うと、「くらしの防災ガイド」のデザインを担当しました。皆さんがぱっと手にしてもらえるようなデザインにすることを心がけています。27歳の時に山田町の「神幸祭(しんこうさい)」のポスターやパンフレットを作って地域に提案したことがありました。ここ数年は仕事で北区に関わるキッカケも多くいただき、デザインを通して色々活動しています。最近では、山田町で様々な企画やデザインに関わっています。様々な世代の地域の人が、自分の街のことを知ってもらいたいです。
五十嵐 浩輔 氏/神戸地域おこし隊(淡河町)(以下、五十嵐さん)
去年、神戸地域おこし隊として大阪から北区に引っ越して来ました。淡河町でこの一年様々な仕事に携わる中で、まちのニーズと自分の能力がかみ合ったと感じたのがデザインの仕事。ロゴ、チラシ、ポスターなど依頼が途切れない状況であり、町にとってデザインの必要性を強く実感しています。特に印象的な仕事としては「淡河メンマカレー」のレトルトパッケージをデザインしたことです。パッケージに、淡河バンブープロジェクトに興味や参加してもらえる仕掛けを組み込み循環するデザインに仕上げました。そのほかに北区制50周年の記念誌「神戸市北区50年のあゆみ」のデザインも担当しています。
江藤 洋平 氏/株式会社みぎにひつじ(以下、江藤さん)
子供が生まれたのをきっかけに北区に住み始めてから5年目。「みぎにひつじ」として活動しています。ちなみに「みぎにひつじ」という会社名の由来は、ともに活動しているウェブエンジニアの妻(江藤祥子さん)と自分の名前に揃って漢字の「羊」が含まれていたことから。昨年のベルスト鈴蘭台でのクリスマスイベントのチラシなど、主に北区内で開催されているイベントチラシのデザインをしています。イベント当日は撮影部隊として“参加型”の関わりを心がけています。きたすずPORTや泉台児童館、川の音ベース、Ridge by Coffee Up!など北区内のウェブサイトづくりにも携わっています。北区での活動をこれからも広げていきたいです。
市橋 英紀 氏/株式会社トーハク (以下、市橋さん)
北区の藤原台で育ちました。今は三宮にあるまちなか広場「三宮プラッツ」などの場づくりに携わっています。特に力を入れているのが、イベントの企画・運営・創作やコミュニティデザインについての部分です。会場の設えや見せ方を作ること、地域の方が応援できる部分を作ることが大事だと考えています。また、自分の過去を振り返ったときに地元北区の思い出があまりなかったと感じたので、家族と一緒に北区を巡って写真に収めたりもしていました。2021年には北区のフォトコン(フォトコンこうべ北)でキタールさん賞を受賞しました。
クロストークへ
―まずはじめに、それぞれにとって「デザイン」とは?
竹歳さん 「すこやか」。デザインとは、物事をよりよくすること=健やかな状態にすることなのかなと。何事も無理をするのは良くないと思っています。もちろん自分自身も!
和田さん 「おせっかい」。言われたことだけをやるのではなく、よりよくするために求められること以上をすることも大切だと思っています。
五十嵐さん 「色気」。良いデザインにはフェロモンのような色気を感じます。ついつい魅せられて"その気になる"というのがデザインが持つ力の本質ではないかと思います。
江藤さん 「伝わる」。伝えるのではなく“伝わる”。どうすれば伝わるか、伝わった後にどうして欲しいか、自分視点ではなく他人視点で考えることを大切にしています。
市橋さん 「合」。待ち“合”わせや話し“合”いなどが何かつながりを生み出すキッカケなのではないかと考えています。
―北区とのつながりは?
市橋さん 少し前までは北区で地域活動のお手伝いなどをしていました。そのきっかけをつくってくれたのが藤井さん(第8回登壇)で自分の師匠。今は三宮プラッツで修行中。また北区に戻って活動が出来ればと思っています。
和田さん 地域で一緒に活動してくれる仲間がいることが大事だと感じています。そういった人達のために頑張ることが原動力になっています。
竹歳さん 生まれ育った神戸市北区に愛着があり、自分の居場所だと思っています。コロナ禍と結婚をきっかけに、兄からの誘いで家業に加入しました。父が40年前に始めた看板の仕事を途絶えさせたくないという思いもあります。地元を離れてしまった同級生たちにも、もっと神戸市北区を誇らしく思ってもらえるように頑張ります。
江藤さん 妻が住んでいたのがきっかけで北区に。人が一番。出会った人とのつながりを大事にしています。あと、子どもに北区が面白い場所だと知ってもらいたいという思いで住み続けています。
五十嵐さん 自然を求めて北区に。竹林整備や農作業の手伝いなど自然と一体化できるような体験が出来て、北区での生活を楽しんでいます。ちなみに和田さんとは専門学校時代の同級生です。
―北区の好きなところ、嫌いなところは?
江藤さん おいしい食べ物との出会いが好きなところです。何度も通っているとご飯だけでなくいろんな会話や出会いがあるのも楽しい。おすすめはあげればキリが無いですが、子どもに初めてのお寿司をふるまっていただけた北鈴蘭台のお寿司屋さん「志成(しせい)」を。嫌いというか、自戒を込めて、坂が多いから足腰が強くなると聞いて越してきましたが、車移動に頼りすぎて逆に身体がなまりそうで。。。
五十嵐さん 音楽を楽しむ場所が全然無いのが残念。自然豊かな場所とアンビエントミュージックなどは相性が良いのではと可能性を感じているので、北区にそのような場所がないのはもったいない。好きなところは雑草がいっぱい生えているところ。大阪にいるときから、公園で雑草を採ってお茶や入浴剤を作ったりしていました。
竹歳さん 基本的には全部好きです。ただ夜道が暗いのがちょっと怖い。娘が2歳になるので、安全性の面で心配になることがあります。
和田さん 文化財など良い素材がたくさんあるのに、発信がうまくいっていないところが気になっています。近くのエリアの人にさえその魅力が伝わっていけばいいなと感じています。そういったところに自分が関われたらと思います。
市橋さん いま自分が住んでいる御影と比べると、まちで写真を撮ったときに空が広いのが印象的。公園もとても広い。公園までの道中だけでも楽しめるのは魅力的。電車も空いていて快適で、アナウンスの音も温かみを感じて心地良かったです。残念なところは子どもの頃を振り返った時に、地元について語れるような思い出があまりなかったこと。子どもの思い出に残るようなまちになってほしいです。あと、母親に情報がすぐに回ってしまうところも少し嫌です。今日も知らないうちに母親が情報を仕入れてこの場に来ていて、、少しやりにくいです笑
―これからの北区に期待すること/北区でしたいこと
和田さん この北区制50年の節目の年だけでなく、次の50年に向けて51年目もこのような横連携を続けていってほしいです。
五十嵐さん デザインを通して淡河町の「色気」を伝えていきたいです。北区に住んでいる人でも「淡河」(おうご)を読めない人がいると聞きました。「世界の淡河」を目指してこれからもたくさん魅力を発信していきたいです。
江藤さん 最近は場所を問わずに働ける環境になっているので、もっとたくさんの人に北区に来て欲しいです。北区らしい発信に携わっていきたいと思っています。
市橋さん プラッツを北区に移設してくれたら北区で活動できるのですが、、笑。子どもたちにどれだけ思い出を残してあげられるかということを期待しています。北区に戻ってきた時には是非何かしら関わらせてほしいです。
竹歳さん 北区ならではのおみやげがあればいいなと思っています。北区を象徴する物事や地域理念などがあれば一丸となれるのかもしれません。看板づくりで関わるお店などの看板商品や看板娘さんを集めて発信することができれば、北区らしさが見えてくるのかも…とぼんやり考えています。
―最後にもう一度“それぞれにとって「デザイン」とは?”と聞いてみると、、
竹歳さん 「あたりまえの日常を作るもの」。すべての日常に関わってくるのがデザインだと思っています。だからこそ日常が失われた被災地の方々のことを思うと胸が苦しいです…。一日も早くいつもの暮らしに戻れることを願っています。
和田さん 「かけ算(□×デザイン)」。デザインだけではなにもできない。なにかと掛け合わせる、クロスさせることで様々なものが生まれてくると思います。北区のことに限らず何か悩んでいることがあれば、いつでも投げてもらえたら。デザインの力で変えられることもあると思います。
五十嵐さん 「地域の邪魔者は宝物」。雑草や放置竹林など一見邪魔に見えるようなものも、デザインによって宝物に変えることができると思います。
江藤さん 「よりよくつづける」。今をベースによりよくすることがデザイン。ただ、一過性で終わるものではなく、少しずつでも続けていくことが大切。そこから、新しいナニカにつながるのではないかと思っています。なにかあれば相談してもらえれば。
市橋さん 「プロポーズ」。プロポーズする際は格好や雰囲気などのシーンを整えて、気持ちが伝わることが大切。デザインも一緒。今回のきたくろすも、ある意味北区にプロポーズすることと言えると思います。互いにプロポーズしあって気持ちが通じ合うためのデザインが大切ですね。
「デザイン」をテーマに様々なトークが展開された第9回「きたくろす」。
会の最初と最後で、登壇者の方にとっての「デザイン」が変化したのもクロストークならではの面白みだったのではないでしょうか。
これからも、北区内の方をクロスさせるきっかけをつくっていきたいと思います!
(果たして、10回目のきたくろすは開催されるのか?今後のお知らせをお楽しみに)
参考リンク
・竹歳 真希 氏
(なかの工芸株式会社) https://www.nakanokogei.com
・和田 武大 氏
(株式会社デザインヒーロー) https://www.designhero.co.jp
・五十嵐 浩輔 氏
(神戸地域おこし隊) https://www.instagram.com/igakosk
・江藤 洋平 氏
(株式会社みぎにひつじ) https://miginihitsuji.com
・市橋 英紀 氏
(三宮プラッツ)https://platz-kobe.com
(vicinato)https://vicinato.jp/company
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